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そのドローンは進歩の音か?

「ドローン」という言葉は、これまで、マーケティング・ライターやニュースレポーターの注目を集めたせいか、意味が多重定義されています。低周波の連続音、オス蜂、弦楽器の鳴っていない弦といった従来の印象は脇に置いておきましょう。我々にとって興味があるのは航空機としてのドローンです。

20 世紀半ば頃、どういうわけか軍は無人目標航空機をドローンと呼び始めました。今世紀に入って、その呼称は他のタイプの無人軍用機に急速に広がり、その後あらゆる種類の市販の民生用航空機にも広がりました。この記事では、後者のドローンの分類を紹介しながら、そのカテゴリーが使用方法だけでなく、システム・アーキテクチャーも反映していることを示します。さらに、この一連のシステム・アーキテクチャーがさまざまなエンベデッド・システム・デザインの今後 5 年間のロードマップを予測している根拠を示します。

制御の問題

ドローンは、その制御方法に基づいて分類することができます。一端に位置するのは、非常にシンプルな無線操縦式あるいは係留式のドローンです。その対極に位置するのは、人間の監視なしに複雑な任務を完遂する能力を備えた完全自律型ドローンです。この両端を結ぶ線に沿って話を進めましょう。

原理上、クアッドコプターはモータードライブ以外の機能を搭載していないため、純粋な無線操縦機と考えられます。操縦者は各ローターの速度を独立制御することができます。しかし、実際にはエントリーレベルの民生用ドローンでもほとんどが、機体の安定性に責任を持つフライト・コントローラー・モジュールを搭載しています。その結果、ドローンに送られるコマンドのレベルが上がります。操縦者は、モーター速度の代わりに機体の姿勢と推力、あるいは方位と速度の観点から考えることができます。

その移行は、単なる解析コマンド以上の大きな意味を持ちます。シンプルなモデルとして、モーターをドライブする電子速度制御 (ESC) チップにパルスストリームを渡す 4 チャネル RC レシーバーが考えられますが、より現実的なモデルはそれだけでは済まず、機体の姿勢を認識する必要があります。

さらに、加速度計、ジャイロスコープ、あるいは高度を検知するためのフラックスゲート・コンパスといったさまざまなセンサーの搭載も意味します (図 1)。ドローンに帰還や着陸などの基本的な緊急機能も持たせたい場合は、位置特定のための GPS レシーバーと気圧を測定して高度を推定するための圧力センサーを追加します。この入力はすべて、マイクロコントローラー・チップで無線レシーバーからのコマンドと合流します。このチップは、低コスト 8 ビット・マイクロコントローラー・ユニット (MCU) でもかまいませんが、ARM* Cortex*-M3 または M7 ぐらいを使用すれば、機能の追加や制御の向上のための余裕が得られます。MCU は、センサー入力を使用してドローンの位置、速度、および姿勢を推定し、比例・積分・微分 (PID) 制御ループのソフトウェア実装において、この情報をコマンド入力と組み合わせてモーター速度を計算し、ESC に渡します。

1. 現在の基本的なドローンは、センサー入力と外部コマンドを組み合わせてローターモーターを制御する

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Drone 100

クアッドコプターは、センサー入力、フィードバック制御ループ、およびモーター出力を備えたエンベデッド・システムとして、すでにごく一般的なものとなっています。また、帰還または緊急着陸を実行する能力の中に自律操縦の種を持っています。大いなる楽しみとして、「スーパー自撮り棒」として、さらにはかなりの実用的価値を持つものとしての可能性は明らかですが、一部のエンスージアストはこのシンプルなモデルのさらに素晴らしい用途を見いだしています。

その一例は新しいスポーツとしてのドローンレースです。完全に見通しの利くコースで競技が行われるレース用ドローンは、前述のシステムのようにシンプルで問題ありませんが、FPV (一人称視点) レースが取って代わりつつあるようです。FPV ドローンは、VR ゴーグルを装着したパイロットにドローンから見たほぼリアルタイムの視界を与えるために、ドローンデザインにビデオカメラと RF ビデオ・ダウンリンクを追加します。そのため、カメラ、いくつかの軽いビデオ処理タスク、およびダウンリンク RF チャネルが追加され、RF レシーバーがトランシーバーに変更されます。

レース用ドローンは通常、帰還および緊急着陸機能のほか、場合によっては安全と利便性のためにパイロットが設定可能な GPS ベースのリングフェンスも備えており、リングフェンスに近づくと自動帰還など、何らかの所定の動作を行います。このような限られた自律性により、ドローンが制御不能に陥ることや田野を越えて飛び去ってしまうことを防止できます。しかし、こうしたドローンは目が見えないことに変わりはなく、落下着陸を防ぐことも硬い物体やレース仲間との衝突 (ひいてはレース仲間の憤慨) を避けることもできません。実際、多くのレース前のアナウンスでは、頻繁に墜落することを承知しておくように警告されます (初期の頃は「時々墜落する」でしたが)。

ドローンの「目の治療」について取り上げる前に、シンプルなドローンが素晴らしいことを成し遂げた実例を 1 つ紹介しておきましょう。数カ月前、インテル® は「Drone 100」でメディアに大きく取り上げられました。これは、音楽に合わせてフォーメーションを組んで夜空に舞う 100 機のドローンが織り成すライトショーで、お互いの位置を認識しているドローンによる組織立った集団行動を示唆しています。しかし、インテル® UAV 製品マネージャーの Natalie Cheung によると、実際にはそれ以上にシンプルかつ興味深いシステムを採用しています。

「100 機のドローンは、1 人のパイロットが 1 台のコンピューターを使用して操縦しています。パイロットは、ドローンに搭載された GPS レシーバー、気圧計、その他のセンサーを使用して、あらかじめプログラムしたパターンを基準に、各ドローンの位置と速度をモニターしています」と Cheung は説明します。Cheung によれば、ドローンはショーの間、所定のコースをたどっているだけです。

目の見えないドローンの限られた自律性と位置精度は、いくつかの制約につながります。パフォーマンス中、ドローンは 6 メートルの間隔を保つようにプログラムによって指示されます。パフォーマンス・エリアは 2 つの GPS ジオフェンスで囲まれています。逸脱したドローンは、最初のフェンスで引き返すことが求められ、2 番目のフェンスでは緊急着陸を行うように指令されます。環境限界を超えないようにするために、チームがドローンを飛行させるのは最適な気象条件下のみです。

こうした安全策を取っているにもかかわらず、ショーを成功させるには多くの準備が必要と Cheung は言います。まず、層状での離陸からショー最後の同様のシーケンスによる着陸まで、すべての飛行パターンを事前にプログラムする必要があります。しかし、それはほんの序の口にすぎません。「チームはショーの 4 ~ 6 日前に現地入りします。そして、各ドローンの飛行テスト、エリアのコーナーのテストを行った後、ドローン群を 4 つに分けて飛行させます。さらに、気象データの使い方についても多くのことを学んできました」と Cheung は説明します。

Drone 100 は素晴らしい航空ショーの上演をはるかに超えた意味合いを持つと Cheung は強調します。シンクロされた安全なドローン群は、人間が数平方メートルを横断するのに要する時間で数ヘクタールをカバーできるため、捜索救助任務において非常に大きな価値を持つ可能性があります。移動中のコンテナー船などの大きな物体を素早く調査できるほか、住民が一時的に避難している間に殺虫剤を散布するなど、液体や粉末を数分で広範囲に散布することも可能です。

しかし、そうした任務では、一週間に及ぶ現地準備や絶好の気象条件が整う時間を当てにすることはできません。悪条件下で素早く展開するためには、衝突回避、地形特徴に基づく航行、場合によっては基地への複数チャネルの HD (High-Definition) ビデオおよびテレメトリーの送信などの機能がドローン群、さらに言えば各ドローンに求められます。そして、これらの要件はアーキテクチャーのさらなる変更を意味します。

見てわかる

単なる衝突回避は大幅な変更なしに実現可能です。近接センサー (コウモリにとって非常に役立つソナーなど) を使用すれば、方向、距離、および接近速度を含む警告を与えることができます。そこからフライト・コントローラー MCU にいくつかのコードを追加すれば、容易に回避可能な物体は回避できるようになるはずです。しかし、時として、ドローンと物体との相互作用を単なる衝突回避以上に複雑にする必要があります。周囲の状況から物体を解像し、距離と速度を測定し、分類し、さらには人間またはその身振りを認識する必要があるかもしれません。それには、より高度なセンサーとはるかに多くの処理が必要です。

Cheung は、この目標への道の 1 つとして、インテルの RealSense テクノロジーをドローン用途に適応させることを示唆しています。そうすれば、HD 可視スペクトルカメラ、ステレオ・イメージング用の 2 つの IR カメラ、および IR レーザー投光器が 1 つのアセンブリーとして得られることになります。このアセンブリーは、クアッド Atom CPU クラスターに加えて I/O 拡張用の小型 FPGA を搭載した AeroCompute Board と直接インターフェイスします。これで、1 個の Cortex-M3 をはるかに超えるところまで進化しました。

元々はマイクロ波エレクトロニクスにおける電磁スペクトルをバックグラウンドとする Aerotenna 社は、ドローンのセンサー環境を強化するための別のアプローチを示しています。同社は、コンパクトなマイクロ波トランシーバーを使用して高精度高度計、衝突回避用の 360 度レーダー、および地表面または地表面下イメージング用の合成開口レーダーを提供しています。

そうしたモジュールは、ドローンのフライト・コントローラーが利用できる情報を大幅に増やすことができます。その一方で、ドローンのアーキテクチャーにも新たな次元が加わります。レーダー・センサーには、ビデオ解析ではなくリアルタイム・レーダー信号処理が必要です。この要件に対応するために、Aerotenna 社は ARM Cortex-A9 コアを統合した中型 FPGA をベースにした独自のフライト・コントローラー・モジュールを提供しています。CPU がロジックを処理するのに対し、FPGA ファブリックはデジタル信号処理を扱います。

融合の時

この時点で、それぞれ特定の目的を持つかなり多くの種類のデータがドローンに流れ込んでいます。まず、慣性航法ユニット、高度計、および GPS レシーバーからのまばらな数値データストリームがあります。フライト・コントローラーはこのデータを使用し、通常はデータを組み合わせて位置制御、つまりモーター速度の制御のために PID 制御ループに送り込みます。また、圧縮されてパイロットのゴーグルに送信されるビデオもあるでしょう。

あるいは、位置特定、物体回避、または物体認識を支援するためにローカルで使用される、ステレオカメラなどからのより高度なビデオのほか、ソナーやレーダーなど、他の特定機能を実行するためのメディアもあるかもしれません。そうしたドローンデザインは、それぞれ特定のタスク専用のセンサー、アクチュエーター、および処理リソースの特定のサブセットを備えた他の多くのマルチタスク制御システムと非常によく似ている可能性があります。

この分割アプローチにより、信号のストリーミングに十分な処理帯域幅およびバッファーメモリーの確保、衝突警告などの重要イベントにおけるレイテンシーの保証といった重要な実装問題が単純化されます。しかし、それだけではありません。

多くの状況では、異なるソースからのデータを融合することにより、結果の質を高めたり、別の方法では不可能なタスクを実行したりすることが可能です。例えば、カルマンフィルターは、GPS データと目視基準点の位置やレーダー方位/測距を組み合わせることにより、位置推定の精度や応答時間を大幅に改善することができます。さらに深いレベルでは、障害物を検出するだけでなくビジョン処理によって分類することもできるドローンは、特にその障害物が特異な形状または挙動を持つ場合、そうした危険を回避できる可能性がはるかに高くなります。例えば、ヘリコプターに近づいている場合、機体を回避することは最も明らかなタスクですが、最も重要なタスクではありません。

その一方で、センサーフュージョンもドローンのアーキテクチャーに大きな影響を与えるでしょう。カルマンフィルターは行列演算を多用するため計算コストが高くなります。また、入力信号のダイナミック・レンジがどちらかと言えば広い場合、浮動小数点演算が必要になるかもしれません。ビデオからの物体認識はまったく別問題で、おそらくディープラーニング・ニューラル・ネットワークで処理するのがベストです。これは、すでに電力効率に優れた MCU の領域を超えて、ハードウェア・アクセラレーターの世界に踏み込んでいます (図 2)。しかし、ドローン・プラットフォームの電源と重量の包絡線に大きく制約されることに変わりありません。必要なのは汎用的なコンピューティング能力ではなく、特定の計算カーネルのエネルギー効率に優れたアクセラレーションです。

2. ドローンを完全自律型に近づけるには多様な入力に加え、複雑なコンピューティング・タスクのエネルギー効率に優れたハードウェア・アクセラレーションが不可欠である

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安全な航行

ドローンの進化には、これまで見てきた側面とは懸け離れたもう 1 つの側面があります。それは機能安全です。訴訟好きなレース仲間に大損害を与えないことが確かなドローンがあれば、ドローンパイロットにとって明らかにメリットです。しかし、国民の合理的行動に常に懐疑的な政府は、常識を強制すべく規制に乗り出しています。例えば、常に見通しが利かない限り、米国内で合法的にドローンを飛行させることは今や非常に困難です。ドローンデザインに対して機能安全要件が義務付けられるまでは、そうした規制が緩和されることはないでしょう。

その機能安全要件は大きく 3 つに分けられます。最初の部分は、要件の文書化、IP (Intellectual Property) の限定、実装に関する決定とツールの選択の文書化、検証の文書化など、要件の規定事項をデザインに正確かつ確実に反映させるためのデザイン手法をカバーします。2 番目の部分は、ドローンがデザインの理論上の機能を実際に実行できるように、動作中の高い信頼性と障害時のフェールセーフ・モードを要求します。3 番目の部分は、過失による損害を防止するためにドローンが必要に応じて介入することを要求します。

最初の部分はドローンのアーキテクチャーにはほとんど影響しませんが、オープンソース・コードの使用、Linux* オペレーティング・システムの使用、機能安全に関する認証を受けていない IP の組み込みは極めて難しくなります。これらの制限の結果、自作プロジェクトが厳しい運用制限から逃れるために必要な認証を受けることは不可能になり、実際問題として、おそらくは多くの違法ドローンが使用される結果になるでしょう。一方、2 番目の部分は、特定用途において各当局が求める信頼性のレベルにもよりますが、選別部品、冗長設計、緊急用の予備フライト・コントローラーなど、大幅なハードウェア変更の必要性をもたらす可能性があります。

3 番目の部分は、前のセクションでの考察に関連します。機能的に安全なドローンは、コース上の障害物を回避するにせよ、漠然とした状況が明確になるまでホバリングするにせよ、安全な場所を見つけて緊急着陸するにせよ、危険な状況を認識し、安全な状態を確保することができなければなりません。これは自律走行車に対する要件よりもさらに厳しい要件です。と言うのも、コントローラーが混乱した場合には制御をパイロットに戻すだけでは不十分だからです。機能安全は、限られた自律性の追求以上にセンサーフュージョンの限界に挑むものです。混雑した広場の上から安全な着陸場所を特定可能なニューラル・ネットワークを考案し、トレーニングしようとすることを想像してみてください。

AI ドローン

機能安全要件について見てきましたが、ユーザーの視点に話を移しましょう。ユーザーは、「スーパー自撮り棒」、空中レース、産業用ドローン群以外に何を未来に求めるでしょうか。すぐに思い浮かぶのは自律型配達です。クリックしてオンライン注文を確定すると、優しいローター音が近づいてきて商品が玄関先に投下されるという夢です。これは完全自律型の任務であり、小売サービスから遠隔検査・保守、さらには軍事的冒険までの多様な夢の縮図です。

これらの状況のいずれにおいても人間の介入なしに任務を完了するには、ドローンの機能をさらに拡張する必要があります。航行、物体認識、および安全のために、少なくとも任務の最終段階において状況を把握する能力を追加しなければなりません。正しい GPS 座標に到達し、低い高度から荷物を投下するだけでは十分とは言えません。例えば、プールや隣家のバルコニーに投下してしまう恐れがあるからです。玄関先を識別することが必要なほか、荷物を郵便配達員の頭に投下したり、荷受人の飼い犬の餌食にしたりすることがないようにすることも必要です。理想を言えば、荷受人にメッセージを送信し、荷受人本人が玄関扉を開けた場合にのみ荷物を投下するようにした方がよいかもしれません。

しかし、このレベルのインテリジェンスは、新しいセンサーこそ不要ではあるものの、データセンターの機械学習の限界に挑むものであり、ほとんどのエンベデッド・システム設計者が現実的と考えるレベルをはるかに超えています。実際、最善の実装はドローンとクラウドの間で分割したシステムかもしれません。これは広帯域幅センサーデータをクラウドに送り返す能力の必要性を意味しますが、そのためには 5G セルラーの普及を待たなければならないかもしれません。さらに、例えば他人ではなく荷受人の配偶者であれば近づけるようにするために、クラウドベースのディープラーニング・アルゴリズムからの結果により、ドローン内部のシンプルなネットワークの活動にリアルタイムに情報を与える能力の必要性も示唆しています。リンクされた機械学習システム間のこのような協調は、現在あまり研究されていません。

以上、無線操縦式の玩具に始まり、その一部がドローン内部に存在する分散型人工知能 (AI) システムに至るまでのロードマップを示しました。このロードマップは、いくつかの変更を加えるだけで、産業用、インフラ用、医療用、輸送用などの他の多くのエンベデッド・システムの進化過程を予測可能であると言えます。いずれも遠隔操作から機能安全、さらにはインテリジェントな自律性に至るまで同じ過程をたどります。


CATEGORIES : All, Embedded system/ AUTHOR : Ron Wilson

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